
18:30、夕食開始。去年は出てくる料理を律儀にすべて食べつくそうとして失敗、満腹の刑で存分にウニを堪能できなかったのだが、今年はぬかりなし。まずはウニ。ザルウニ。とにかくウニ。ザルウニ。なんせウニ。ザルウニ。という姿勢を貫くことによって悲劇を回避する。しかし、D部期待のホープであるY嬢はそんな私の軟弱な姿勢をあざ笑うかのように次々と料理をたいらげ、さらに次の料理が出てくるのが待ちきれなくて居眠りまで始める実力。やはり彼女は本物だ。当然のように未だ空席になっているD部部長に推されるが、なぜか本人は固辞。昼に鶏の半身揚げをきれいに食べ、私が差し出した胸肉も(文句言いつつ)食べ、もらった唐揚げも食べ、さらにその残りを道歩きながら食べ、ついでになんか甘いもんも食べ、あげく夕飯までたいらげた人間が断るD部部長の座。それは一体どれほどの高みにあるものなのだろうか。

夕食後は離れに戻って本格宴会。
・食べる。
・飲む。
・一度は参加の申し込みをしたものの、仕事の都合でキャンセルしたMぐらさんに「せめて写真だけでも」とウニ写真を送る。
・「心乱れるから、もう送ってこないで!」とすぐさま断られる。
・一度は参加の意思を見せたものの、諸般の事情で来られなかったMっちにも宴会の様子を送って「来年はぜひ」と誘う。
・その宴会風景の何かが彼女の心をとらえたのか、「やっぱ無理っす!」とすぐさま断られる。
・一年で25キロ痩せたというYミちゃんがダイエットのコツを伝授する。さまざまな質問が飛ぶなか、なぜか沈黙するD部部員。不思議に思っていると、後に部員のYマシタ(姉)により「だってね、D部の部員はイヤっちゅうほどダイエットのことなんて知ってるの! 研究に研究を重ねて、それでも痩せられないからD部なの! 今さら質問などないの!」という真相が明らかに。首がもげるほどうなずきつつ納得。
・Yミちゃんが25キロ太っていた頃の写真を見る。「うわっ」「こ、これは……」「どうしてこんなことに」などと初対面の人々から驚きの声があがるなか、「なんだ、いつものYミちゃんじゃん」と密かに思っていたことは内緒。それにしても人は思いのほか伸び縮みする。

・予定外の、第一回ブラジャー祭開催。秘祭ゆえ詳細は伏せるが、写真にて内容を想像されたい。そしてその想像の20倍は激しい肉弾戦の祭であると想像されたい。第二回開催は未定だが、御神体を運ぶMゆちゃんと祭主であるYマシタ(姉)の参加があれば、再び人々はブラジャーの前にひれ伏すことになるであろう。ていうか、こんな写真送ってこられたら「やっぱ無理っす!」って言うよな普通。
・ブラジャー祭開催の間、独身男性Sんさんは、どうにもいたたまれない風情。彼は去年の初参加の際、「新人査問委員会」と称して、年上のおばちゃんたちに取り囲まれ、過去の女性体験を根ほり葉ほり訊かれ、一つ一つバカ正直に答えたばかりにダメ出しされ、「工夫が足りない」「ありがちな恋愛」とまで酷評され、おそらくは女性に対して夢を失ってしまったにもかかわらず、今年も参加したという貴重な人材。なのに今年はまさかのブラジャー祭! 神様、これ以上Sさんを苦しませないで!
・が、そのSさんについて、「Sさんは去年よりリラックスしてたよ」「去年より饒舌だったよ」「去年より笑ったよ」「Sさんはかぷかぷ笑ったよ(C)宮沢賢治」という報告が各所より届く。「やっぱ我々の蛮勇の中にも女性の神性とでもいうべき美しさを見出したんじゃない?」。いいえ、たぶん何かを決定的に諦めたんだと思います。

・それにしても相変わらず怖い宿のトイレ。できれば一度もトイレに行かずに家に帰りたいが、まさかそういうわけにも行かず、心を無にしてトイレに通う。その最中、おそらくはNごちゃんのいたずらでドアがガタガタいったり壁がドンドンいったりするが、ヘタに騒ぐと調子に乗って毎回そのようなことをするのは目に見えているので、心を石のようにして無視。トイレを出たあと、Nごちゃんの胸倉つかんで「あんたでしょ! わかってんだからね! こういう小学生男子みたいなことをするのはあんたでしょ!」と糾弾しようかとも思ったが、もしNごちゃんではなく、さらに誰でもなかったら余計に怖いので、心を石のようにして我慢。ウニツアーでは精神も強くなる。
・深夜、高校時代の友人、Kミエちゃんのドキドキ人妻ライフを聞く。「●の●●と●●したら、思いのほか●●●●でうっとり●●、もしかしたら●●●●●●●。●●していったものが●●だというのも、●●かも。このまま●●●●●二度と後戻りは●●●●」。ああ、なんということ! 詳細が知りたい方は来年のウニツアーへ!
・刀折れ、矢尽きるように就寝。
8月30日(日)

それぞれの携帯電話のアラームが、それぞれの日頃の起床時間を教えてくれるウニツアーの朝。みんな案外早起きね。朝の光の中、Cちゃんが「私の中のオヤジが目覚める時刻。この歯ブラシを口の中に入れた瞬間、それは始まる」と言いつつ、歯磨きで思い切りえずく。おお! まごうことなきオヤジ! このCちゃん(念のために申し添えるならば女性です)のオヤジっぷりを目の当たりにしたSさんが、Iナミアニキ(念のために申し添えるならば女性です)に「いやあ、Iナミさんはまだまだ大丈夫ですよ。Cちゃんから見たら全然女っぽいですよ」とフォローしていたことが後に判明。Sんさん、アニキを日頃どんな目で見ていたのか図らずも露呈する、の巻。
朝食はバイキング。これがまた旨いのだが、ここでうっかり食べ過ぎると、昼のウニ丼に響くことは過去の経験から明らかなので自重する。が、そんな私をあざ笑うかのようにYマシタ(姉)が強気な食べっぷりを披露。屈伸運動もかくやという軽快な動きでせっせと料理を持ってきては食す姿に、攻めの人生の大切さを学ぶ。

食後から出発までは敷き詰めた布団の上で、ダメな大人が激しくダラダラする。寝転がって歯を磨く者あり(Hマダさん)、「もよおす」ということについて人体の不思議を語る者あり(本人の名誉のため敢えて名を秘す)、Mゆちゃんにメイクを施される者(Nごちゃん・Cちゃん)あり。そのメイクについては「えー自分と同じにやってるんですよー」というMゆちゃんの訴えにもかかわらず、二人の顔を見たYマシタ(妹)が「うわっ」と叫び、Iナミアニキが「具合悪いの……?」と尋ね、さらには「な、なんでここにショッカーが?」などという質問が飛び交ったことで、衝撃の大きさがわかっていただけると思う。でもたぶん見慣れていないだけだったので、見慣れるとかわいかったですよ(フォロー)。

やってきた時と同じように、何もしないうちに布団がたたまれ、食器が洗われ、ゴミが分別されるという魔法の宿を後にして、積丹岬へ。展望台からはるか下に見える海岸まで調子の乗って下りたはいいが、人生の摂理として下りた後は上らねばならない。後悔という言葉の意味をかみしめながら、なんとか上りきったはいいが、疲れたとか膝が笑うとかいうのとはまったく次元の違う具合の悪さが私を襲う。ふと気づくとCちゃんも同じような気分の悪さを訴えており、おまけに顔が緑(ってこれは例のメイクのせいだが)。一体、私とCちゃんの何が他の人と違うというの?(答え:昨日の朝および昼から酒を飲んでいる。さらに今日の朝から酒を飲んでいる。ていうか恒常的に酒を飲んでいる。あと中年)
なんとか体制を立て直して昼食へ。ビールとともにバフンウニ丼を存分に食した後、余市の道の駅へ向かう。そこでさらにアップルパイやソフトクリームやイモモチ。「みんなで楽しくウニを食べよう!」というところから「人は一体どこまで食べ続けることができるのか」というあたりに、主旨が変容しつつあることをひしひしと感じる。敢えて問う。我々は集団で人生の行き先を見失ってはいないか。

集合写真を撮影後、いよいよ札幌に戻る。北海道マラソンによる交通規制を避けるため、互いの知識と地図を総動員してルートを探る運転手あAニキとHマダさん。それを見守るKミエちゃんとYミちゃん。そんなすべては遠い世界の出来事ね、と乗った瞬間から爆睡する私とY嬢。人は何かを手放すと楽に生きられる。もうすぐ札幌駅につくというあたりでYマシタ号の(姉)から電話があり、どうやら交通規制のせいで壮大に狐に化かされてる模様。「あ、ミソマルちゃん、今どこ? 着いた?」「もうすぐ着くところ」「こっちは規制で全然駅に近づけなくてさ」「うん」「どの道通って行ったの?」「え? うーん」「こっちは××(よくわからない)を通って、××(全然わからない)に出ようとしたんだけど」「うん」「行けなくて」「うん」「××(さっぱりわからない)なら通れる?」「うーん」「それとも××(もちろんわからない)?」「さあねえ」「……あんたいいから誰かわかる人にかわって」。人は何かを手放すとさらに別の何かも手放さねばならない。
駅ではKミエちゃん、Yミちゃん、そして九州代表・M森さんとお別れ。M森さんは到着時、結構な大荷物だったのだが、今は隣町からやってきたような軽装に。ああ、そうね、あの大荷物はお土産だったのね。本当にありがとう。で、いただいた物の中にあった「ゆずすこ」、初めて見る物で口にするのが楽しみなんですが、説明書のおじさんがちょっぴし怖いです。これ誰ですか。

その後、NごちゃんとCちゃんの電車の時間まで、合流したKパパーゲ氏を交えて反省会。ええそうです、まだ飲みます。ただしこのあたりは酔っぱらっていて記憶が定かではないので、あまり報告すべきことはなく、「このまま帰ったら旦那がショッカーだと思って家にいれてくれないかも」と、NごちゃんとCちゃんが化粧を落としていたことをぼんやり覚えているくらい。ああ、そうだ。朝起きたら、選ばれし者の印として爪に描かれていた顔をY嬢と見比べもした。どちらもほんのりと笑顔。何に選ばれたのかは不明。
(なんと驚けまだつづく)