正座で20分

 
 

ウニ合宿を越えて人は大人になる。

8月24日(日)
寝姿 部屋の隅で夜中に何やら不測の事態が発生していたようで、朝目が覚めると畳の上にダンゴ虫のように転がっているY嬢。そのY嬢の布団は、となりに寝ていたはずのコパパーゲ氏が悠々と占領している。「夜中に……夜中にコパ氏がものすごいスピードで回転してきて……そしておらの布団を……恐ろしかっただよ……うわっと思った時はおらは畳の上に放り出されていただよ……・」と、宇宙人にさらわれた人のようなことを懸命に口走るY嬢。その目は恐怖と寝不足のために赤く濁り、さらには全身の筋肉痛を訴えつつ、「コパ氏の寝相は悪いのではなく速い」という名言を残して再びの眠りにおちたのであった。

 
寝姿2そのY嬢と、自らの招いた事態も知らずにサナギのように眠るコパ氏、そして「朝は食べない!」となぜか前夜から宣言していたMぐらさんを残し、朝食へ。バイキングとはいえ、非常に充実した料理内容に感激しつつ、もりもりと食す。なかでもYマシタ(妹)は、「おいしいよねえ」「本当においしいよねえ」「ちょっとおかわりしちゃおうかな」「これもすっごくおいしい」と絶賛しては、「あ、夢中になり過ぎてまた写真撮るの忘れた」ということを繰り返しており、前夜から続く悪夢より未だ目覚めていないようなのだった。早く彼女が現に戻れますように。またこの朝食の席では、唯一の人妻Nごちゃんが、「北海道では部活動(酒部・下戸部・デ部改めレプチン抵抗性部)の活動が大変活発であることに衝撃を受けた。かくなるうえは私も江戸に帰り、新しい部を創設してみなさんの入部をお待ちしたい。ついては既婚部などはどうだろう」と提案して、ずらりと並ぶ独身男女に「ケンカ売ってんのかオラ」と凄まれるという微笑ましいシーンも見られた。北と江戸との心温まる交流。


手ぬぐい巻き放題 朝食後は海岸で人生について考える。とともに、「人はなぜ手にした手拭いを頭に巻きたがるのか」ということについても考える。もちろん答えは出ない。人生は正解のない長い旅なのよ、とおのれも頭に手拭いを巻きながら合宿所へ戻ると、そこはまだ布団の海。気だるい雰囲気が漂う部屋に寝転がりながら、「だからコパ氏のスピードは半端じゃないんですよ、あーもう身体痛てえわ」と始終ムッとした表情で菓子を食う人(Y嬢)、自分の荷物を背負いながら「荷物がない、荷物がない」と捜索に励み、それはウケを狙ってるのかそれとも老いなのかと周りを不安にさせる人(Mぐらさん)、「ねえ、俺のスボン知らない? 袋に入って、あの、ズボン、あの、青いの」と訊いただけなのに、「昨日、風呂に忘れたんじゃない?」「風呂だ風呂だ、ここにはないだろう」「だって見てないもん」「それ違うって! それ私の荷物!」「パンツで帰れば? もしくは丸出しで」「うひひ」などと散々に言われたあげく、見つけた瞬間には「あーもう!! 最初からちゃんと捜せよなー!! 人騒がせな!!」と全員から怒られている人(コパパーゲ氏)などを眺めていると、「生きてそして死にゆく我ら」という言葉が脳裏に浮かぶ。理由はよくわからない。

 午前10時。合宿所出発。昼食のウニ様にお目通りする前に、身体を清めるべく温泉へ向かう。ものすごく塩辛い湯なのに、傷口にしみないという温泉マジックを体験。いやもうやっぱすげーな温泉と浮かれていたら、あやうく寝風呂で溺れそうになったことは一生の秘密にしておこう。今死んだら湯灌なしか? と思いつつ、二日間のウニ合宿で唯一の真顔の瞬間。

 ムラサキだもの風呂後はいよいよウニ丼。昨夜のウニはムラサキウニだったが、今日こそはバフン。音の響きは悪いが味はいい。そう、このバフンのために一年間、つらい仕事も嫁姑の確執もじっと辛抱し、雨の日も風の日もひたすら畑を耕し、イギリス留学も涙をのんでとりやめ、ただ真っ直ぐに生きてきた私であったが、なんと「バフンウニは三人前しかありません」っておまえ私の一年間を返せーーーー! と叫ぼうと思った刹那、目の前でYマシタ(姉)が「ええええ! バフンウニないんですかあああああ!!」と本気の絶叫。それを見て、「あ、叫ばなくてよかった、こりゃ恥ずかしいわ」と思ったことも一生の秘密にしておこう。叱られるから。結局、バフンは内地組のみなさんに堪能していただき、我々道産子はムラサキウニを食す。ビールも飲んで、死ぬほど腹いっぱい。

 なのに、この後ジンギスカンを食べに行くって正気ですか? どうやら正気らしい。私の乗ったアニキ号(アニキ・Hマダさん・Sまさん・私)では、目的に近づくにつれ健康不安説(いくらなんでもお腹いっぱいで肉など無理だろう)がささやかれはじめ、ついにはHマダさんがコパ号のY嬢に電話。「ねえ、今からジンギスカン食べられそう?」「大丈夫っすよ、肉なんて見ればなんぼでも食べたくなるもんなんですよ」って、だからY嬢に訊くバカがどこにいるか! あの人はなあ、数年前まで「胃もたれ」を「空腹」と勘違いしていて、「どんだけ満腹で寝ても朝にはおなか減ってて、変だなあと思いながら、お菓子とかカレーパンとかばんばん寝起きに食ってた」人間なんだぞ。そいつに訊いてどうする。というわけで私がYウさんに電話。「ねえ、今からジンギスカン食べられそう?」「あ……わかんないけど、横でY譲が、見れば食べられる、って言ってるから大丈夫かも」。もーうー喋るなーY嬢ー! あきらめきれずにYマシタ号のNごちゃんにさらに電話。「ねえ、ジンギスカン食べられそう?」「あ……Yマシタ姉妹は、全然余裕って言ってます」。世の中バケモノばっかりかーーー! 
結局、三時のおやつにジンギスカン。何が悔しいって本当に「見れば」食べられてしまったこと。道産子魂が羊に反応したのか。ちくしょー旨めーじゃねーかー! と敗北感にまみれながら肉を食う。

 下戸部撃沈もう本当にダメ、これ以上は空気も入らん。という満腹でいよいよ札幌へ。ここで内地組のYうさん、Sまさんとはお別れ。改札口で、しょんぼりと二人を見送る。外は日が暮れかかっているし風は冷たいしウニは終わるしお別れだし、寂しくって涙がでちゃう。だって女の子だもん。というわけで、居残り内地組のNごちゃんを囲んで居酒屋反省会に突入。本日四食目。いやもう腹いっぱいで酒にも酔わん。ふと見ると、下戸部のMぐらさんがまるで酔っ払いのようにテーブルに突っ伏しているではないか。彼女はジンギスカンを食べながら「これ以上は無理」とほとんど涙目で満腹を訴えていたのに、反省会に突入したとたん、おにぎり食いーの味噌汁飲みーの揚げ物食いーの刺身食いーのケーキ頼みーのと、八面六臂の大活躍。一体どうしたのだろうと思っていたら、「わたくし生まれて初めて、食べ潰れるという経験をしました。自分が何を食べたのか食べてないのか満腹なのかそうじゃないのか、すべてが今は謎です。苦しいのか苦しくないのかもわかりません。でも泥酔者の気持ちが初めてわかりました」と言い残して遠い世界へ行ってしまったよう。お元気で。

反省会は午後10時過ぎに解散。一足先に帰宅したアニキからのメール「あんたたちまだやってんのかい! はんかくさいねっ!」という言葉が胸にしみた帰路であった。

というわけで、参加者のみなさま、お疲れ様でした。来年もまた気が狂ったように食って遊んで笑いましょう。それまではつらい仕事も嫁姑の確執もじっと辛抱し、雨の日も風の日もひたすら畑を耕し、イギリス留学も涙をのんでとりやめ、臥薪嘗胆の日々をお互い送りましょう。ありがとうございました。





   23:35 | Comment:1 | Trackback:0 | Top
 
 

ウニツアーというよりウニ合宿

 8月23日(土)
 今年もやってまいりました、心の故郷(夏限定)積丹へのウニツアー。「あーウニ食いてえ! 誰か誘ってさー、ウニ行こうぜウニ!」と軽い気持ちで発言した遠いあの日(何年前だ?)のことを思い出すたび、「スーパー幹事Hマダさんに向かって口にした希望は、事の大小にかかわらず、あますところなく現実化する」ということをしみじみ実感する。今年は内地組も含めて総勢十二名の参加者が、ウニを目指してクソ寒い北の大地に集合。ファッションリーダーを自認するY嬢(ポイントは四角い襟元)「は「だってまだ八月だから!」と一人半袖で気を吐くも、「ファッションリーダーであるならば、むしろ秋を先取りすべきでした」と後に敗北宣言。「内地の人も長袖だもね、私一人ではんかくさい(北海道弁)もね」と過ちを素直に認めつつ震える姿は、後半「おっさんパンダ」の異名をとる人とは思えないほど可憐なのであった。
天気はイマイチ 午前11:00過ぎに出発。仕事の後、現地で合流するYマシタ(姉妹)を除いた十名が、二台の車に分乗する。私はアニキ号。かつてこのウニツアーでの攻めの走りをもって「アニキ」の称号を手にしたIナミさんは、今年は後ろを走るコパパーゲ号の指示により、抑えの走り。が、車内では、「ゆっくり走るとさー、眠くなるんだよねー」「あ、あんなおっさんの車に抜かされた。しかも軽かよ。チッ」と、アニキの名に恥じぬ発言を繰り返す。ふだんは和服なども着こなし、さらには「男とか、もう面倒くさくて、ほんっとどうでもいいよね」と枯淡の境地にあるかのような彼女の魂は、しかし未だ熱く燃えている。ヘタにさわると火傷するぜ。

 昼食は某海鮮市場の二階で、魚も肉も焼き放題。しかし、我々の目的はここのカニでも肉でも貝でも魚でも鮨でもない、あくまで今夜から明日にかけてのウニなのだ! という自覚をもつ我々は実に控え目に食事を終える。と言いたいところだが、生まれてから二十数年「一度も満腹になったことはない。常に八分目。どんなに食べてもまだ食べられる。とくに肉」と豪語するY嬢と、「ウニに備えて今週はずっと粗食だった。夕食はスイカのみの日もあった。それだけ私はこのウニツアーに賭けているのだ」と主張していたMぐらさんの二名は、喜々として大量の肉を食す。Y嬢はともかく、誰かMぐらさんに「これはまだウニではないよ」と指摘する者はいなかったのか。いなかったのだ。数十分後、Mぐらさんが満腹の腹を抱えて、「なぜ私はこんなに肉を……」と我に返る姿を、「いやー変だと思ったんだよねー」と口々に言いつつ眺めるにこやかな顔に、ウニツアーの厳しい掟を見る。

合宿所貼紙 午後4時、宿に到着。たぶんスーパー幹事と連絡をとっていたのであろう(大人の話だから私は知らない)、Yマシタ姉妹もほぼ同時刻に到着。小樽で昼食をとったという彼女たちにアニキがすかさず駆け寄り、「ねえ、小樽で何食べた? お昼何食べた?」と尋ねていたのが印象的であった。なぜそんなに気になるか、他人の昼めし。ちなみに宿は民宿の離れの一軒家。私は過去に何度か来たことがあり、さらに内地組のSまさんとも一度一緒に泊まった宿なので、思い出話に花が咲く。
「前に来た時よりやっぱり古びてるねえ」
「そうだねえ」
「あれからミソマルはまたここに泊まった? その時どうだった?」
「うん、泊まった。いつだっけなあ。ウニツアーって何回目だっけ?」
「いや、だからさ……」
「Sまさんたちと来たのはいつだっけ。まだツアー化してなかったんだよね」
「五年前」
「あ、もうそんなになるんだ。五年前かあ、そうかあ、早いなあ時の流れは」
「いや、だからさ……」
「あの時って他に誰がいt」
「いや、だから、五年前に一緒に来た時とその後ミソマルが来た時と、夕食のウニの盛りはどうだったかということを訊きたいの!」
「…………え、えーと、それほど変化はなかったかと思います」
「そう、それだけわかればいいの」
ウニの前に思い出は散る。

 到着後は全員ですかさず温泉風呂。脱衣所でうっかりIナミさんに「アニキ」と呼びかけて、「女湯でアニキと呼ぶな!」と叱られる私。さらにジャグジーにつかりながらYマシタ(姉)に「仕事は終わらせてきたの?」と尋ねられ、「まあね」と答えただけなのに、「でもそれが当たり前だから! 別に全然偉くないから!」と叱られる私。ああ。叱られても裸(放哉)。

 午後6時から夕食。ウニはもちろん、次から次へと現れる海の幸に一同ちょっと我を忘れる。なかでもYマシタ(妹)は、登場する料理に感激するあまり、「うわあ、これ、なんて料理だろう」「すっごくおいしい!」「盛り付けも素敵!」と言いつつ半分ほど食べては、「あ、夢中になり過ぎて写真撮るの忘れた」と後悔し、しかし次の料理ではまた「うわあ(略)」「すっごく(略)」「盛り付け(略)」を経て、「あ、夢中に(略)」ということを延々繰り返していて、まるで終わらない悪夢のようであった。早く目が覚めて写真が撮れればいいのに、と他人事ながら思う夜。そして私の横ではMぐらさんが、「悔しい……昼の肉が……」と過去の自分を呪っているのであった。

 その後は宴会に突入。
・飲む。
・寝る。
・食べる。とくにMぐらさん、夕飯ギブアップしといて「ちょっと寝たら復活した」とかいって、いきなり菓子食うとはどういう了見だ。
・「酒部」「下戸部」「デ部」の部員構成について確認。詳細は言えない。
・Yマシタ(姉)が仕事関係の講演会で聴いてきた新説「人は食べるから太っているのではない。太っているから食べるのだ」に衝撃が走る。
・のはずが、いつのまにか言い訳に用いられるように。「仕方ないんだって! 太ってるから食べるんだって!」
・内地組Nごちゃんの「私、食べ過ぎができなくなったんですよ。すぐに上下から出ちゃう。身体が賢くなって拒否するようになったみたい」の発言に、涙目になりながら「私の身体のバカバカバカ!」とおのれを殴る人続出。
ノシオ二十歳の記念・そしてまた食う。
・旭山動物園のサイ「ノシオ」の二十歳の誕生日を遠く離れて祝う。
・歌までうたう。
・大丈夫か。
・貴重な新人男子Sんさんの過去を根ほり葉ほり訊く会開催。
・またの名を「新人査問委員会」。
・合言葉は「怖くないから。正直に話せばすぐに終わるから」。
・ほとんど年上のおばちゃんたちにリンチのように囲まれて、「今までで一番つらかったことは何?」「今までで一番長くつきあった女性は?」「それはどれくらいの期間?」「いつからいつまで?」「何で別れたの?」「ほほう、そうきたか」「じゃあ一番短かったのは?」「その人とのなれそめは?」「なんだよ、そのありがちな話」「もっと人生に工夫を」「ドラマはないのかっ!」「他人に罵倒されたことはある?」「今とかじゃなくて」「今までで一番心に刺さった別れの言葉は?」「なるほど、わかる気はしないでもない」「確かにあんたはそういうヤツだよ」「数回しか会ったことないけど」「初めての給料は何に遣った?」「ミソマルを知ったのは何で?」「「年上と年下どっちが好き?」「ていうか、どうなのよ愛は!」などの怒涛の質問に礼儀正しく答えるSんさんは正気なのか。
・ていうか、我々が正気なのか。
・途中、これがきっかけでSんさんが深刻な女性不信に陥ったらどうする、という疑問がわくも、「このケモノのような我々の中に一筋の光を見つけることができれば、どんな女性ともうまくやっていけるのではないか」という結論に。結果的に、我々は一人の青年を救うことになるに違いない。
・というような騒ぎを唯一ほとんど無言でにこにこ見つめる内地組Yウさん。
・まあ、実際こういう優しい女もいるから青年よ、力を落とすな。
・ところで離れのトイレは暗くて怖いので、いい歳して一人で行けないのはだーれ?
・私。
・なので洗面所に行く優しいYウさんの後について、奥のトイレにすかさず入る。素早く用をすませて再びYうさんの後について部屋へ戻ろうとすると、くるりと振り向いた彼女がにやりと笑って言うには、「閉じ込める……」。
・青年よ、やっぱり女に夢を見るな。

深夜二時過ぎ、くたくたに疲れて就寝。布団に入った後に何気なくHマダさんに質問が飛ぶ。「Hマダさんは一番最近男の人とつきあったのっていつ?」「内緒です!」。青年よ、この手もあったよ。


(つづく……でもいつになるかはわかりませんですのほんとすいませんねだっていそがしいんだもんしかもながいしごめんなさい)
   17:59 | Comment:5 | Trackback:0 | Top
 
 

聞け

とりあえず高校野球が終わり、四つ欲しかった身体のうちの一つがあいたので、そのあいた身体で「仕事 やる気のでる方法」を検索し倒しているうちに、もう夕暮れ。しかも一日がかりでわかったことには、「まずはやること」だって。だからそれができないっつってんだろうが人の話をちゃんと聞けよなぐーぐるも。あーだりい。
   17:46 | Comment:6 | Trackback:0 | Top
 
 
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